中学生の勉強の仕方

2022年9月5日

中学1年生で行う発音指導

発音は小さい時に学べばネイティブ並みの発音になると思っている方が多いですが、そう言えるのは母国語として英語を学べるほど大量に英語を聞く環境にいた場合です。帰国子女も一日の半分以上の時間を学校で英語で過ごしますので、ネイティブのような発音になります。日本のように日常全く英語を聞く機会がなく、学校で週5時間くらい英語を聞く程度では、小学生で英語を学んでもネイティブ発音にはなりません。単語5個くらいの文でしたら、そうなる場合もあるかもしれませんが、それ以上の長い文の場合は、「学習」として緻密に発音をまねる練習をしていかないと、ネイティブ発音にはなりません。

それで、日本で英語発音を身に着けるには、緻密に音を学習できる中学生から英語発音を学ぶのが日本の学校英語教育として最も適切な方法だと思います。

それでは発音練習のやり方を説明いたします。
発音練習で、最も大事なのは「耳で聞いた通りに発音する能力を育てること」です。 

まず、発音記号ごとの発音を習得します。下の条件を満たす教材であればどのような発音教材で学んでも結構です。

  1. 「基本の発音」一つに対して、注意点が一つか二つであること。たくさん注意点があると文章の発音練習の時に思い出せません。
  2. 音の説明が中学生にもわかるやさしい説明であること。
  3. 日本人の先生がお手本を読んでいる場合は子音が日本語化して短くなっていないこと。

以上を満たす教材であればどれでも結構ですが、適切な発音教材がない場合は私の本「英語発音、日本人でもここまでできます。」付属DVDで学んでください。上記3つの条件を満たしています。私自身が中学1年生の時に覚えた各発音の注意点で解説していますので、中学生にも理解できるやさしい説明です。

発音記号ごとの発音の仕方を学んだら、学校で学習したレッスンに出てきた単語の発音を練習します。その時は単語やその発音記号を見ながら練習して結構です。

教科書の単語や英文の音声(CD)は書店で教科書ガイドを売っている場所に行くと置いてあります。新学期ですと大抵の書店に置いてあります。私が買ったときは2,000円くらいでした。私はこれを文部科学省が全中学1年生に無償で配布することをもう何年も前からお願いしていますが、いまだに配布してもらえません。生徒にスピーキングを習得させたいのなら音声モデル(CD)の配布は不可欠です。これだけのスピーキングの練習は授業時間内ではできませんので、当然生徒が家で宿題としてすることになります。

その後、文を一つずつ、聞いた通りに言う練習をしてください。

この時は、文章は見ても結構ですが、発音記号は見ないで発音してください。文章の練習の時に発音記号を見ていると「耳で聞こえた通り発音する」のではなく、「自分が頭でこうだと思っている音で発音する」ようになります。これをやっていると、「聞いた通りに発音する能力」が育ちませんのでやめてください。「聞いた通りに発音する能力」は発音習得において最も重要な能力です。

口がすらすら動くようになるまで、何回も一文ずつ、CDの後について言ってください。
出来れば70回くらいお手本について言う練習をしてほしいですが、時間がないようでしたら、10回でも20回でも結構ですからお手本と同じ発音で言えるように練習してください。

中学生の皆さんは、部活があったり、英語以外の宿題もありますので、忙しいと思いますので、普段のしゃべる練習は、これで、結構です。(夏休みや冬休みなどの長期のお休みの時にやっていただきたいことはこの後述べます。)

最後に発音練習した文を全部書きとってください。この時、綴り字が書けない単語がありましたら、書けるように練習してください。英語の文章は発音練習によって、完璧に頭の中に入っていますから、単語を書けるように練習すれば、文はおのずと書けるようになっています。これで4技能すべてが身に付きます。

発音練習 4技能

Speaking は正しい発音、リズム、イントネーションで言えるようになります。

Listening は正しい音が全部耳に残っていますので聞き取れます。

Reading は何度も発音練習している文ですので、読むことができます。

Writing は上に書きましたように完璧に書けます。

私の発音の生徒さんの中に大学生のころ中学生に英語の家庭教師をしていたという人がいて、「教科書の文章を毎回暗記させていたら、その子は中間試験、期末試験で95点より低い点数はとったことがなかった」と言っていました。発音練習を何度もして、教科書の文章を正しい発音で暗記してしまうと、定期試験対策も万全です。

このように発音練習で何回も英文を言っていると教科書の文章は自然と覚えてしまいます。教科書の英文をお手本(CD)と同じ発音ですらすら言えるようになれば、日本人の英語習得において最も障害となる【発音】【語順】の基礎が完璧に身に付きます。それがこれからの英語学習を効果的に進めていきます。

中学生は耳が良いので、普段の練習は、これで結構です。ただ、夏休みや春休み冬休みの長期休暇の時にやっていただきたいことがあります。自分の英語を録音して、教科書のCDの英語と比べてみてください。そこで、気づいたこと(例えば、声が小さい、ぶつぶつ切れて聞こえる、Tの音が弱い、など)があったら、直してまた録音してみてください。そうやって、CDの英語と同じように聞こえるまで、練習してみてください。日本人は文の初めが弱い人が多いので、そのあたりを気を付けると英語らしく聞こえます。また、リズムやイントネーションがお手本のように出来ているかどうかは、同時音読をしてみるとわかります。同時音読というのは、お手本と一緒にスタートして、全文を読んでみます。リズムやイントネーションが違っているとすぐわかりますので、これも長期休暇の時にやってみてください。

私のDVDには発声練習もついていますが、中学、高校は変声期に当たりますので、発声練習はやらないでください。

また、「変声期で声を出すと喉が痛い」「声がかすれる」という場合は、「声を出す発音練習」は行わないでください。これは大人も同じです。「喉が痛い」「声がかすれる」などという症状がある時は、「声を出す発音練習」は、行わないで下さい。喉の状態がよくなったときに「声を出す発音練習」を行ってください。

では、声が出せないと発音練習はできないか、というとそういうことはありません。川合メソッドで最も重要なことは「耳の聞く力を上げる」ことです。声を出せない時は、聞く練習を行います。

例えば、

  • CDを聞きながら、母音や子音の音の特徴を認識する練習をします。
  • イントネーションやリズムを認識する練習をします。
  • 何度も聞いて慣れてきたら、単語と単語のつなぎ目の音の変化を聞き取る練習をします。(著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」18ページにはatという単語を例にして、次に来る単語によって、Tの音の言い方が違ってくることが書いてあります。)
  • 子音の長さを聞く練習をします。(子音の日本語化を直す練習のページを参照してください。)

このように声が出せない時は、聞く練習を行います。聞く練習を積み重ねていると、声を出す発音練習ができるようになったとき、お手本と同じように言えるようになります。聞く練習はとても大事な練習です。 

中学2年生で行う発音指導

中学2年生、3年生も1年生と同じように授業の終わった教科書の英文を宿題として家でCDと同じに言えるように練習します。

「子音の日本語化を直す練習」は文章の発音ができるようにならないとできませんので、中学2年生の最初に教えます。

このホームページにある「子音の日本語化を直す練習」に載っている子音が長い例文3つのうち、子音一つだけの練習に使う(例文A)のみを使って生徒に練習させながら、英語の子音には長さがあることを指導してください。