Lの子音の日本語化を直す練習

2022年9月8日

子音の日本語化を直す練習

英語の子音の長さを聞き取り、日本語化しない子音で話せるようにする練習を始める方は、基本の発音を習得していることが前提となります。

皆さんにこれからやっていただく練習はすでに沢さんと相田さんという二人の方にやっていただきました。二人とも長さのある英語本来の子音で英語を話せるようになりました。

沢さんは30代の女性で、結婚後家庭に入られて現在は2人の小さなお子さんの世話で忙しい毎日を送っています。日常英語を話すことは全くありません。

相田さんは50代女性で英語とは全く関係のない仕事を長くなさっています。
一か月の練習の後、英語にまったく縁のないお二人が「Lの子音に長さがあること」が聞き取れるようになりました。そして、英語本来の長さを持ったLで英語を話せるようになりました。皆さんも同じ練習をしていただければ、英語本来の長さを持ったLで話せるようになります。

川合メソッド2第一部「子音の日本語化を直す練習」と第二部「英語の音質で話す練習」をすると自分の話す英語が変わります。沢さんの練習前と練習後の発音の変化は下の通りです。

それでは実際の練習に入ります。

子音Lの長さを聞き取り、長さを持ったLで話せるようになる練習。

長さを持った子音で話せるようになるためには、まず、英語の子音には長さがあることを自分の耳で聞き取れるようにします。 練習をスタートする前に、現在の皆さんの音の聞き取りの状態を確認していただきます。

ヘッドフォンか、両方の耳に付けるイヤフォンをご用意ください。非常に微細な音の違いを聞き取りますので、スピーカーですと、よくわかりません。

ご自宅に初級用の発音教材があればそれを利用してください。Lが最初にある単語で始まっている文を聞いてください。文が見つからなければ、Lesson 1 や ListenなどLで始まる単語でも結構です。(なぜ初級用の教材を使うかというと、初級用の教材では、速さが比較的ゆっくりですので、子音も長めに聞こえる教材が多いからです)初級用の教材をお持ちでない場合は、ネット上にある英文の発音でも結構です。Lが長さを持って発音されているのですが、それが聞き取れるかどうか、聞いてみてください。

おそらく、Lに長さがあるのがわからなかった方が大半だと思います。それが普通だと思います。
沢さんと相田さんにも、スタート時、Laterという単語で始まる文の発音を聞いてもらいました。お二人ともLの長さは聞いてもわかりませんでした。
けれども一か月練習したら、二人ともLの長さが聞き取れるようになりましたので、安心してください。

それでは練習方法を説明いたします。

Lの例文

A I love it.(L1個)
B Let’s go to Lily’s house.(L2個)
C I lay for a long time looking at it.(L3個)

練習(1)普通の言い方
音声モデルについて、上の3つの例文をそれぞれ5回ずつ発音してください。

練習(2)Lが長い言い方
単語の初めのLだけを長く発音して文を言う。音声モデルについてそれぞれ5回言ってください 。

気を付けていないと、自分はLを長く発音しているつもりでも、Lの長さが、短くなってきますので、しっかりLの長さを保って発音してください。

Lを発音するときには、私が著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」付属のDVDで説明していますように舌先だけでなく舌先から少し後ろの部分までぴったり歯茎に付けるつもりで強く押し付けて発音してください。

この練習はLの長さを聞き取れるようにすることと同時に、長さのあるLを発音できる舌の筋肉を作るトレーニングも兼ねています。つまり、舌の筋肉増強トレーニングです。出来るだけ力を入れて、舌を歯茎に押し付けて発音してください。舌の力がついてくるのは練習開始後17日目から21日目くらいにかけてです。この時、発音にどのような変化が起こってくるかについては、今後また説明いたします。

スタート時の練習はこの2つです。最初は、Lで長さを保つと、リズムがうまく取れないので、やりにくいですが、4日目くらいから慣れて来る、と沢さんより感想がありました。

日本語にない音を聞き取れるようにするには、日本語で、聞くことがない音を発音して、聞く練習が必要です。こんなに長さのある子音は、今まで聞いたことも、言ったこともないと思いますが、だからこそ、この長さに耳も口も慣らすようにしてください。まさに皆さんにとっては、「今まで言ったことも聞いたこともない音」との出会いだと思います。

ただ、初めての体験なので、うまく長さが言えない場合があります。

沢さんは、自分はLを長く発音しているつもりでも、実際に私が、録音を聞いてみると、Lの長さが非常に短いことがわかりました。沢さんの最初の練習(2)の発音をお聞きください。

Lが短いですね。彼女自身は短いことに気づいていませんでした。

川合メソッドですと、自分の発音を録音して、私の発音と比べて直してもらうのですが、今回のネット上セミナーでやっていただく練習は、著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」にご紹介したような「完成度の高い発音を習得する練習は出来ないけれど、通じる発音で話したい」という人向けの練習ですので、自分で音を比べる作業を書略しました。

それで、長く発音していただくために、私は次のようなアドバイスを沢さんにしました。

家の中にある時計で、秒針のついているもののそばに行ってください。目覚まし時計でも、柱時計でも結構です。そこで、練習(2)を行いながらLのところで、秒針が「カチカチ」と2つ動く間Lを伸ばしてください。

そうやって練習したら、長いLで例文が言えるようになりました。

その音声をお聞きください。皆さんに、長さの差がよくわかるように、練習開始から3か月たった時の彼女の音声を載せました。

最初の音声と比べて、Lが長くしっかり発音されているのがわかると思います。こういう風にLを長く発音してください。

このとき彼女は、簡略腹式呼吸の練習、唇と口角を強くする練習、英語の音質で話す練習などを始めていますので、かなり、声の音質も違ってきています。皆さんにも、これから5、6カ月かけて、少しずつ、同じ練習をしていただきますので、練習終了時には、強く、よく通る声で英語が話せるようになります。

それでは今日から練習(1)と練習(2)をやってみてください。一か月後には日本語化したLと英語本来の長さを持ったLの違いが聞き取れるようになります。

沢さんは、「長い間、英語を話していなかったので、最初は口がよく動きませんでした。最初のLの練習のときは、いろいろしゃべった後の、午後の時間に練習すると、やりやすかったです。」とおっしゃっていました。相田さんは、「特に午前午後の違いは感じなかった。」ということでした。

しばらく英語の練習をしていなくて口がよく動かないと感じた方は沢さんの言葉を参考にしてください。

練習開始から3週間の練習内容
  • 3つのLの例文を2つのやり方で言う
    練習のときは、ヘッドフォンをつけなくて結構です。
  • 練習(1) 普通の言い方  5回
  • 練習(2) Lが長い言い方 5回
    舌に力を入れて強く押し付けてLを発音してください。

沢さんと相田さんに練習の感想をお聞きしたときに、お二人ともが「お風呂で練習すると、うまくいきました」とおっしゃったので、びっくりしました。

沢さんと相田さんは、お知り合いではありませんので、別々に練習をお願いしました。練習時期も2,3か月ずれていました。けれども、お二人ともが、「お風呂で練習するとうまくいく」とおっしゃったので、これは何か理由があるのだろうと思い、思い当たることを言っていただきました。

沢さんの意見

お風呂だと自分の声が響いてよく聞こえる。
冬の練習期間だったので空気が乾燥していました。お風呂の中では湿気があって、喉が楽でした。

相田さんの意見

お風呂の中だとエコーがかかったように聞こえます。
自分の出した声がそのまま返ってくるのでよりわかりやすい。
喉が楽。他人に聞かれないのでやりやすい。

とのことでした。お二人ともお風呂で練習すると、うまく行ったそうです。

練習開始17日目から21日目の変化

相田さんの変化

「私は川合先生のような、舌が歯茎に絡みつくようなLの発音は自分には出来ないと思っていました。でも、練習17日目あたりから「アレッ?なんだかLの発音が、舌が歯茎に絡みつくような発音に変わってきた」と思いました」(ただし、この時点では、まだ舌の力が十分できていないので、Lが一つ入った例文でのみ、絡まるようなLで言えるようになりました。3つLが入った例文で言えるようになるのは、来月です)

沢さんの場合は、練習開始から21日目に送っていただいた録音で、Lがとても強くなっていたので、「ご自分で、Lが強くなったのがわかりますか?」とお聞きしたら、「自分ではわかりません」とおっしゃっていました。けれども私が練習14日目の発音と比べてみると、かなりLが強くなっているのがわかりました。

ですからご自分で、気づかなくても強くなってきている可能性は、十分ありますので、練習を続けてください。

練習開始から3週間後 簡略腹式呼吸(水道管呼吸法)

3週間練習をして、自分のLの発音が強くなってきたと感じている方や、相田さんのように、舌が歯茎にからまるようなLに変わってきたという方もいらっしゃると思います。自分では、わからなくても、強くなっている場合がありますので、あきらめないで、とにかく一か月は続けて見てください。

Lが強く長く言えるようになるのはいいことなのですが、ここで一つ問題が生じます。息の問題です。強いLに息を使うので、文の他の部分がブツブツ切れてくるようになります。沢さん、相田さんともに、この現象が出てきました。特に2番目の例文でブツブツ切れているのが、顕著にわかりました。

しかし、お二人とも自分の発音がブツブツ切れているとは思っていなかったようです。私が相田さんに「Lの例文で、音がブツブツ切れ始めましたね」と申し上げた時、相田さんは、自分ではそうは思わなかったそうです。日本人にはブツブツ切れるのが普通の発音だからです。

こういう場合、本来でしたら、2冊目の著書「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」142ページに書いてあるように、自分の発音とお手本の発音を比べて直していただくのですが、今回の練習は、最初の著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」に書いてあるような、完成度の高い発音を習得する練習は、出来ないけれど、一応、通じる発音で、話したい、という人のための練習方法ですので、録音して比べるプロセスは省略します。

ブツブツ切れている、という前提で、必要な練習に進んでください。

ブツブツ切れる理由はいくつかありますが、一つの理由は息が足りないからです。そこで息をもっと使えるようにするためのトレーニングが今日から一つ加わります。

それが次にご紹介する簡略腹式呼吸、別名、水道管呼吸法です。(あまりエレガントな名前でなくて、すみません。)

これは、著書「英語発音、日本人でもここまでできます」付属のDVDで解説しました腹式呼吸は出来ないけれど、一応、通じるレベルで英語を話したい、という人向けの、簡単な腹式呼吸の方法です。(そのイメージから別名「水道管呼吸法」と名付けました。)

やり方は次の通りです。

まず都市の地下に埋まっている大きな水道管をイメージしてください。直径1メートルくらいで、大人がしゃがんで通れるくらいの大きな水道管をイメージしてください。

この大きな水道管の中いっぱいに、水が勢いよく流れるところを想像しながら、息を大きく吸って、勢いよく、一気に口から「フー」と吐きだす練習です。大きな水道管の中を勢いよく流れる水のように、途中で弱くならないように強く太く、息を「フー」と吐き出します。

具体的なやり方
  1. 息をたくさん吸い込む。
  2. 指先に着いたほこりを吹き飛ばす時に言うような「フッ」という時の口の形をする。
  3. その口の形を保持して、強い息のまま3秒間吐ききってください。
  4. これを5回行ってください。(間に休みを入れて結構です)

「ア」の口の形で「ハー」と息を吐いてしまうと、一瞬で終わってしまいます。それでは、おなかの力は着きませんので、「フー」と3秒間強い息を保ちながらはいてください。「川合メソッド2」では音でも息でも一瞬でおわらない、「保持して使える」ことを身に付けていきます。音や息を日本語のように一瞬強くするのではなく、持続して強く使えるようにしていきます。

この練習は簡単な割には非常に効果があります。相田さんは「水道管呼吸法の練習をすると、おなかがプルプルして、効果的でした。」と感想を述べています。実際に、水道管呼吸法を昨年10月16日に始めていただき、11月19日に例文をきましたら、「強く息が出ていておなかを使って発音しているのが感じられる」と、私のノートに記録がありました。水道管呼吸法は、たくさんの息を強く保持しながら使えるようにするのに、非常に効果があります。彼女は6秒息を吐く練習を10回ずつしました。

沢さんの方は6秒息を吐く練習を5回ずつしました。6か月間の練習終了後、沢さんにお話を聞きに伺った時、「練習の中で一番大変だったのは何でしたか?」とお聞きしたら、それはこの水道管呼吸法だったそうです。「5回やるとフラフラしました」とおっしゃっていました。

今回の練習では、私は皆さんの横について見ていることができませんので、ふらふらするのはよくない。と思いました。そこで、プログラムを公開するにあたって、今度は3秒で5回にして、沢さんにやってもらいました。彼女は「フラフラしませんでした」ということでした。この呼吸法を初めてする娘にもやってもらいました。3秒なら娘も「フラフラしない」と言いました。

ですから3秒なら皆さんも問題ないと思いますので、3秒で5回行ってください。(子音を長く言う「川合メソッド2」全般を通してのお願いですが、何か自分の体に違和感を感じるようなときは、練習全部を直ちに中止してください。)

「川合メソッド2」終了後、沢さんの発音を聞くと、しっかりおなかが使われているのがわかります。それはこの呼吸法のためです。特にhallway の発音のところでよくわかります。

水道管呼吸法は5か月間ずっとやりますので、最初のうち、うまくできなくても、4か月5か月とたっていくと上手になりますので、心配しなくて大丈夫です。一か月に1秒ずつ伸ばして行きます。時間をかけて気長に取り組んでください。

声楽の萩原先生は「歌は最後は息の勝負なの」とおっしゃったことがありました。先生は「息は、車にとってのガソリンと同じなの。声もガソリンがなければ、大きく出ないのよ」とおっしゃいました。

私はバーバラ・ストライサンドが好きで彼女の歌をいくつも練習しましたけれど、彼女が「5分の歌を5分のドラマにできる」のは、彼女が人並み外れた量の息を使えるからだと、練習しながらいつも思いました。ブツブツ切らないで、豊かでたっぷり強い声を出すには、やはり息も変えていく必要があります。

水道管呼吸法は、この後行う、鼻腔に共鳴させる「英語の音質で話す練習」をするときに、威力を発揮します。「鼻腔に共鳴させる」ということは、日本語を話している時より、大きな空間に音を響かせていくことになります。ですから、息もたくさん必要になります。

実際に、沢さんも相田さんも練習前に比べて声が大変大きくなりました。相田さんの場合は、小さな口元で静かにお話をする方だったのに、英語をしゃべるときだけ、強く大きな声になったので、音質の練習が始まってからの録音を聞いたときは英語を話す時だけ、別人になったような気がしました。

ご本人たちからも、「声が大きくなった」という感想がありました。沢さんの場合は、ご主人からも、「英語の練習をしている時の声が大きくなりました」という感想がありました。大きな空間に響かせるためには、今よりたくさんの息が必要になります。水道管呼吸法で、たくさんの息が使えるようにしていきましょう。

今日からこの「簡略腹式呼吸(水道管呼吸法)」を練習に加えてください。

子音を長く言う「川合メソッド2」 練習開始3週間後から1か月後までの練習内容
  • 練習(1)普通のL5回
  • 練習(2)長いL5回
  • 簡略腹式呼吸 (水道管呼吸法)3秒×5回

ここで映画の中の言葉から長い子音がよくわかる例を皆さんにお話します。

「プラダを着た悪魔」という映画の23分のところで、ランスルーを見ていたアンディが「私はまだ、“こういうもの”を学んでいるところなので」というと、ミランダ(メリル・ストリープ)が“こういうもの”と言う言葉に驚いて、唖然として、“This… stuff….?”と言う場面があります。

その時、彼女がつぶやいた「Stuff」 の「S」の発音が非常に長く発音されています。

唖然としたミランダの言い方を真似してStuffと言ってみます。
「S」が非常に長いですね。 英語の子音には長さがあるのがよくわかります。

練習開始後1か月 Lの長さが聞き取れるようになる

「川合メソッド2」の練習を始めて3週間たった時、私は、沢さんに練習開始時に聞いていただいた「Later」という発音をもう一度聞いていただきました。彼女の感想は次のようなものでした。

「Later のLの前に「ウー」という、自分がLを長く発音した時と同じ音が聞こえました」

それから一週間たって(練習開始後1か月)また同じ「Later」という発音を聞いていただきました。

「今日は、Lが重なって聞こえました。LLater という風に」

相田さんにも練習開始から一か月後に「Later」の発音を聞いていただきました。相田さんも「LLater のように聞こえました。」とおっしゃいました。

皆さんも、練習開始時に聞いた「L」から始まる単語をもう一度、聞いてみてください。多分、聞き取れるようになられたと思います。もしまだでもがっかりしなくて大丈夫です。これからいろいろな音で練習していきますので、必ず子音の長さが聞き取れるようになります。

沢さんが、「Laterの前に聞こえた」と言っていた「ウー」という音が英語の子音「L」の長さです。

ここで、皆さんに理解していただきたいことが、2つあります。

1つ目は、私たち日本人がLater と聞いている「L」の発音の前に、「ウー」という音があること。この音は、「舌の先が歯茎についている状態」で発音された音です。

日本人の発音するLater の Lには、この「ウー」という音はありません。日本人のLater の Lは「舌が歯茎から離れるところ」から音が始まるからです。日本人のLater の発音には舌が歯茎についている状態で発音される「L」の音はありません。日本語の子音にはそういう発音の仕方はないからです。

2つ目は、この「ウー」という音は、発音してもしなくてもいい音ではなく、英語をしゃべるときは必ず、発音しなければいけない音だということです。

非常に小さな音の長さなので、言っても言わなくても同じように私たち日本人は思いますが、この音は必ず発音してください。それが本来の英語のLの長さです。

ここで、実際にマライア・キャリーさんの歌で長い子音のLを皆さんに聞いていただきます。

マライア・キャリーのLの発音

ここで、実際にマライア・キャリーさんの歌で長い子音のLを皆さんに聞いていただきます。
こちらのYoutubeの映像をご覧ください。

この映像の2分38秒からの「Lord」という歌詞のところを聞いて下さい。画像は全画面表示にして聞いてください。時間のカウンターが、2分38秒から2分39秒に変わるところで、「ウ」という音が聞こえます。これがLordのLの発音の始めです。私が友人の藤田さんにそう言ったら、「川合先生の言われた通り、よく聞いているとここでウという音は聞こえますけれど、私には、これが舌先を歯茎に付ける音には聞こえません」とおっしゃいました。それで映像で見てもらいましたら、そこでマライアさんの舌が上がるのが見えたので、藤田さんもLはこの時点から始まっていると納得してくれました。全画面表示(パソコンの画面全体に映像が映る設定)にしないと、マライアさんの舌が上にあがる瞬間の口元が見られませんので、パソコンの全画面表示でご覧ください。

娘にも同じ個所を聞いてもらって「お母さんのお友達はこの「ウ」という音が舌が歯茎につく音だとは思わない、と最初は言っていたの」といったら、娘が「ここは、Lの音しか聞こえないよ。ほかに何の音が聞こえるの、お母さん?」といわれてしまいました。

確かに娘がカラオケを使ってHero を歌うのを見ていましたら、Lordのところで、マライアさんと同じタイミングで、舌が上がって、歯茎についていました。

私は藤田さんと娘のコメントを比べて、日本人が英語の発音を学ぶときの難しさを改めて感じました。2分38秒からの同じ「Lord という歌詞を聞いて

藤田さん

「このウの音が舌先を歯茎に付けた音には聞こえません」

「ここはLの音しか聞こえないよ。ほかに何の音が聞こえるの?」

藤田さんのコメントは、日本人が長い間、英語の子音の長さを聞き取れなかった理由をよく表しています。

私たちは、今まで日本語しか話していませんから、「子音は一瞬で終わる」と無意識に思い込んでいます。だから「ウ」という音が聞こえて来ても、そこで、舌を歯茎に付けてLの音を保持しているなどとは全然思わないわけです。

私はこの後「藤田さんは、“あの「ウ」という音が、Lで、舌先が上の歯茎に着く音には聞こえない”とおっしゃいましたね。それでは、藤田さんにはあの「ウ」という音は何の音に聞こえたのでしょうか」と聞いてみましたら、彼女は「川合先生に「ウ」という音が聞こえますか」と聞かれなければ、「ウ」という音には気づかなかったと思います。」とお答えになりました。日本人は英語の子音が長さをもって聞こえてきても耳が取り込むことがなかったのだと思います。