Mの子音の日本語化を直す練習

2022年9月5日

Mの練習とWhere are you ? の練習

最後の子音、Mの練習に入ります。練習のやり方はお分かりだと思いますので簡単に説明いたします。

Mの練習(1)例文

(A) Wait a minute.
(B) Many people like her movie.
(C) Your mother came to meet him in the morning.

例文A,B,Cをそれぞれ5回発音する。

Mの練習(2)

Mの子音を長くして、例文を5回発音する。

長いMを発音するときは、上下の唇に力を入れて閉じて、鼻の方に息を送って発音します。この練習は、Mを長く発音する練習であるとともに、唇の力を強くする練習でもあります。唇にしっかり力を入れてください。

Where are you? の練習

この練習は今までしてきた「オーイーの練習」に変わるものです。唇に力を入れながら、同時に音をつなげて英文を言う練習です。

例文

Where are you?
I’m here.
Where is your bag?
Here it is.
Where is your cap?
It’s in your bag.

この文章を唇に強く力をいれて発音します。注意する点は、力を込めても、ブツブツ切れないように、音をつなげて発音することです。

次の音声は私が唇に力を入れてこの文章を発音したものです。ちょっと力んで、ぎこちないところがあるのは、唇に全身の力を入れて発音しているからです。

次は沢さんが一番最初にこの練習の音声を送ってくれた時のものです。唇に力を入れるとブツブツ音が切れてしまいました。こうならないように音をつなげて発音してください。

半月後、切れないで言えるようになったものはこちらです。

(この練習は最初は4文しかない練習でした。その後最初の2文を付け加えたので、この音声は例文と少し違います。)

なぜこれほど唇に力を入れて練習するかと言いますと、音をつなげる唇の力をつける以外にもう一つ目的があります。

この後始まる英語の音質で話す練習のためです。

唇に思いきり力を入れて動かすと、口の中、口の外(顔)、首、胸。おなか、立って発音すると足、など、全身の力を使います。

音質の練習では、口の中にある軟口蓋を上げる練習をします。軟口蓋は、口の中の見えない部分です。しかも、今まで高く上げたことなどない部分です。そんなところを、高く上げるわけですから非常に力が要ります。しかも、その状態をキープしなければならないので、さらに力が必要になります。そのためにこの Where are you? の練習を行います。

沢さんが「Where are you?」の練習をすると、軟口蓋を上げるのが、楽になりました」とおっしゃっていたので、皆さんにもこの練習をしていただくことにしました。

英語本来の子音で話す練習「川合メソッド2」 練習開始から1か月間の練習内容
  • 簡略腹式呼吸(水道管呼吸法) 4秒 x 5回
  • Where are you? の練習  5回 
  • Lの練習(2) 長いLで例文を言う  3回
  • Wの練習(2) 長いWで例文を言う  3回
  • Nの練習(2) 長いNで例文を言う  3回
  • Rの練習(2) 長いRで例文を言う  3回
  • Fの練習(2) 長いFで例文を言う  3回
  • Mの練習(1) 普通のMで例文を言う 5回
  • Mの練習(2) 長いMで例文を言う  5回

Where are you? の練習1週間後:唇に力を保持してしゃべるって、どんな感じなの?

今、皆さんは唇に力を入れてWhere are you?の練習をしています。体中の力を入れて練習していらっしゃることと思います。

それでは実際に普通に会話するとき、唇に力を保持して音をつなげてしゃべるとどういう感じがするのかを今日は体験していただこうと思います。

まず、今までにやった例文の中で言いやすいものを一つ選んでください。
例えばLet’s go to Lily’s house. という文を選んだとします。

これから発音していきますが、まず、唇には今、Where are you? の練習をしている時の力の4分の1くらいの強さの力を入れてください。普通にしゃべる時の再現ですからWhere are you? の練習ほど力を入れる必要はありません。唇と首に少し力が入る程度の力の入れ具合です。

そして、文の最初から最後まで、その唇の力を一定に保って話していきます。単語の終わりの部分でも唇の力は保持しておきます。つまり単語と単語のつなぎ目でも唇には一定の力を保っておきます。(発音に関しては、こういう“OOを保って”というのが、なかなかできないのですね)

具体的に言いますと、

Go ゴウ のオウの「ウ」を言う時も唇の力を抜かない
To トゥのウーの発音を言う時も唇の力を抜かない
Let’sLily というLの発音に、唇は関係ありませんが、この時も、Lを発音する口の形で唇には全力の4分の1程度の力を保って固定しておいてください。

つまり、文の最初から最後まで、唇にはずっと全力の4分の1程度の力を保ったままで発音していくわけです。

Let’s の「ツ」からGo に移るときも唇の力を保ったまま移行します。
Go 「ゴウ」の「ウ」からToの「T」の口に移行するときも唇には力を保ったままです。
To の「ウー」から、Lilyの「L」の口の形に移行するときも唇に力を保っておきます。

こうやって文の最初から最後まで一定の力を入れた唇を変形させながらしゃべってみると、自分が唇の動きをずーっとコントロールしているような感じになりませんか?

文が終わるまでずーっと唇の動きを自分がウォッチ(見張る)しているような感じですね。

文章をしゃべる時、単語と単語のつなぎ目でも唇をゆるめないで、力を保持したまま、音にあわせて唇を変形させていくと、音が滑らかにつながります。「音を一定の強さをキープしながらしゃべる」と非常に聞きやすくなります。そうでない場合と録音して比べると、聞きやすさの違いがよく分かります。

日本人が英語にかけるお金と時間はすごいのに通じない、というようなことが言われますけれど、「本当に通じない問題は何か」それを特定して学習していかないと莫大なお金と時間を費やしても、相手によくわかる英語で話すことは出来ません。

一例をあげれば、日本語化した子音で、シャドウイングを何時間しても、通じる発音は習得できないということです。Where are you ?の練習は唇に全力の力を込めて行ってください。

参考:発音習得の基本姿勢「帰国子女と同じに音が聞ける生徒さん」

Lの発音のところでマライア・キャリーさんがHeroの「Lord」という言葉を歌う時のLの発音の長さを見ていただきました。

あるビジネスマンの方と先週、お話しする機会がありました。
その方は英語とは全く関係ないお仕事をしていらっしゃいますし、お忙しいので、英語の練習はなさったことはないと思います。けれども解説を見ながら何回もHeroの2分38秒のところを聞いていたら、Lの長さが聞き取れたそうです。

「何回くらい聞いたらわかりましたか?」とお聞きしたら、10回くらい、ということでした。

練習をしていない人でも、何回も聞けば、Lの長さがわかった、というのは私にとってもうれしいことでした。

自分は仕事で英語は使わないけれど、聞けるようになりたいです、とおっしゃっていました。お子さんに、「英語の子音には長さがある」と教えてあげたいのだそうです。お父さんが、日本の英語の先生も知らないことを知っているのですから、教えてあげたらお子さんはきっと驚くでしょうね。お父さんが教えてあげるのはとてもいいことだと思います。

自分がしゃべらなくて、子音の長さのみ聞き取れればいい、という場合は、簡略腹式呼吸の練習や「オーイーの練習」(今はWhere are you? の練習ですね)は必要ありませんので、子音を長く言う練習(2)のみ行っていただければ大丈夫です。それも大変なら、電車を待っている間や歩きながら、Lから始まる単語をLを長くして言っていれば、耳が長い子音に慣れてきます。

さらに、今週の火曜日は、私の発音レッスンを数年前に卒業して行った人と話す機会がありました。彼女は今でも、私のブログを読んでくれていて、「先生のマライア・キャリーの歌の解説を見て、私、焦ってしまいました。私もHeroのあの箇所で、Lの発音しか聞こえなかったんです。いったい川合先生は、何の音のことを言っているのかしら。私にはLの発音しか聞こえないわ、と焦ったのですが、由紀子ちゃんのことが書いてあって、安心しました」と、笑って話してくれました。

今も、自分の発音を録音して聞いているようで、「Wなんかは、自分では長めに発音しているつもりでも、聞いてみると、そうでもないんですよね。もっとしっかり言わないとわかりづらいな、と思って、もっと長く発音するように、やり直して練習したりしています」と言っていました。文章に入っているWの長さまで、聞き分けていることに私は感心しました。彼女は現在も冷蔵庫の前にWやLなどの子音から始まる単語を紙に書いて貼っておき、毎朝、それを子音を長く発音している、と言っていました。やっていないと、唇の力が落ちてしまいますからね。それと、英語で話すとき、そんなことは気にしていられませんから、無意識でもできるようにしておかなければなりませんからね。

「発音は自分で身に付けるもの」という基本姿勢を発音練習の最初に持ってもらうと、卒業しても、どんどん自分の力でうまくなって行くのですね。

「Lの発音以外何の音がするの?」と思ったというのですから、彼女の耳は帰国子女の由紀子と同じレベルまで上がってきている、と思いました。「発音は自分で身に付けるもの」という基本姿勢を持っていると、一人で練習しても能力をどこまでも伸ばしていけるのだな、と思いました。

皆さんに中学生のお子さんがいらしたら、最初に「自分で聞いて身に付けるんだよ」という姿勢で、発音練習を始められると、どこまでも発音のレベルは上がって行きます。たとえ基本の発音は先生に習ったとしても、この姿勢を持って習うことは重要です。