WとNの子音の日本語化を直す練習
WとNの練習第1回
WとNの練習に入ります。Lの練習は、Lが長い言い方だけを毎日3回言ってください。相田さんはLの練習が終わって、次のWとNの練習に入ったとき、Lの練習をやめたら、せっかくついた舌の力が戻ってしまいました。ですから皆さんはLの練習(2)を毎日3回だけ続けてください。
それではWとNの練習を説明します。やり方は基本的にLと同じです。
A You win. (W1つ)
B What are you waiting for?(W2つ)
C We were watching television.(W3つ)
上の3つの例文を5回音声モデルについて言う
A No, it isn’t.(N1つ)
B I’ve never been to Naples.(N2つ)
C No one knows his name.(N3つ)
上の3つの例文を5回音声モデルについて言う
W.Nの例文を普通に読んだ音声は、下にあります。今回は最後にRの例文も入っています。これは来月の練習がRとFなのですが、Rの例文はいきなり聞いても、言うのが難しいと思いましたので、これから一か月間、聞くだけで結構ですから一緒に聞いておいてください。(Rの例文は言う必要はありません)来月Rの練習がやりやすくなります。
文章は次の通りです。
You are right.
I received a radio from Tom.
I saw Rachel’s rabbit in her room.
(「レイチェルのラビット」というのは、ちょっと唐突な感じがすると思いますが、Rが3つ入った文で、しかもやさしい文、というのがなかなか思いつかなかったので、こういう文になりました)
次に子音を長く言う練習(2)に入ります。
3つの例文をWを長く発音しながら5回音声モデルについて言う。
3つの例文をNを長く発音しながら5回音声モデルについて言う。
子音を長く言う練習(2)は、今まで日本人が聞くことが出来なかった音を聞く練習であると同時に、今まで日本人が発音できなかった長さを持った子音で発音する力をつけるトレーニングにもなっています。今回はWの音を発音する唇の力をつけていきます。唇の力は、音をつなげて言う練習にも必要です。時間がなかったら、練習(2)だけでも結構ですから、毎日5回、言ってください。
Wの音を明確に出すには唇に力を入れて発音しなければなりません。その時、力を入れるのは、上下の唇が合わさる部分でなく、唇の一番外側(唇が顔の皮膚と接する唇の輪郭の部分)に力を入れて、唇全体を外側から中央にすぼめてくるように発音すると強いWの音が出せます。
図の青い部分ではなく、赤い部分に力を入れて唇をすぼめてきます。
私は娘にwould water were などを発音してもらい、そのときの唇の形を観察しました。
やはり内側(上唇と下唇が合わさる部分)だけでなく、外側(唇が顔の皮膚と接する唇の輪郭の部分)から「唇全体」を、すぼめるように寄せて来て発音していました。娘は4年間毎日、学校で英語を話していたのですから、もう、唇に力を入れなくてもWの音がよく聞こえるように発音できます。私は日常生活で、英語を話していたわけではないので、発音練習の時に唇に力を入れて唇の筋肉を強くしておくようにしています。
Wの練習(2)は、Wの練習をしながら唇と口角の力をつけていく練習でもあります。Wを長く発音する時には、唇全体と口角に力を入れて、唇と口角を強く中心に寄せて来て、唇に思い切り力を入れて、発音してください。
ナチュラルスピードで英語を話していても、Wの音が明瞭に聞こえるためには、日本人は相当、唇の力をつける必要があります。アメリカ人は映画のセリフのような速い英語で話した時も、Wの音は落ちません。文の中で弱く発音されるwere や wouldなどという単語も全部言わなくてもそこにWの音が聞こえるからwere や wouldがそこにあることがわかります。私たちが、速く口を動かした時でも、明瞭に聞こえるWを言うためには、普段から相当強い唇の動きができるように鍛えておかなければなりません。
それに、唇に力を入れる練習は、単に、唇の力を強くするだけではありません。これは、練習を終えた沢さんから指摘されたことでした。唇に力を入れてWを発音する練習をしていると、唇だけでなく、口の内部にある発音するときに使う筋肉全体が強くなってきます。皆さんもやってみてください。唇にめいっぱい力を入れてすぼめていると、舌の裏側や奥歯の後ろあたりの筋肉まで、力が入っていませんか?
また、唇の外側、つまり顔の口の周りの筋肉、にも力が入っていませんか?口角に力を入れて唇をすぼめていると頬の下から耳の方に伸びる筋肉にも力が入っていませんか?もっとよくわかるのは首です。唇に思いきり力を入れてすぼめると、首の筋肉に力が入って筋だって来るのが、鏡を見るとわかります。裏を返せば、こういう筋肉が強くなければ唇の力も強く使えない、ということです。ですから、こういう練習で、日本語では使わない筋肉を強くしていきます。
そうすると、その人の話す英語全体が、非常にはっきりしてきます。ぼやけた発音でなく非常に強くて明瞭な発音になってきます。唇に力を入れることを意識するだけで、これだけの筋肉が鍛えられます。是非、唇にめいっぱい力を入れてWの練習をしてください。
例文Cは、We were watching television. と、普通は弱く言われるwere のWまで伸ばしますから言いにくいと思います。なぜこういう例文にしたかと言いますと、先ほども説明しましたが、were would のように文中で強く言われない単語でも、最初のWの音だけは、速くしゃべってもあまり落ちることがありません。弱く言われる位置にあっても、Wだけは落とさずに言う、その練習のために、あえて弱く言われる位置にあるwere も練習に入れました。練習にwereが入っているのはそういう理由ですので、しっかりWを強く発音してください。
You win. の例文ではwin を発音するとき、「ウィン」の「イ」の母音より、Wの「ウ」の方が強く聞こえるように意識してください。相田さんは「W」の音が苦手で、「ユー」と「ウィン」の「イ」が強くなり「W」の音はその谷間のように弱くなってしまう言い方が最初のうち、続きました。そうならないように母音の「イ」より「W」の「ウ」の音を強く発音するよう意識してください。「W]の音はどんなに強く言っても日本人には強すぎることはありません。それだけ唇の筋肉が鍛えられますので、とにかく唇に力を入れて「W」を言ってください。
Nは発音の仕方は「L」と似ています。「L」の練習でつけた舌の筋肉を「N」の発音でも、維持してください。舌の力を落とさないようにしましょう。3か月後、鼻腔に共鳴させる練習に入る時には、Nの例文から入って行きます。Nは発音するとき、鼻に息を送ることを忘れないで練習してください。
下の練習項目を見ますと、たくさんあるように見えますが、私自身で全部やってみましたら約14分で、できました。そんなに時間がかかるわけではありませんので、是非練習を続けてください。
- Lの練習(2) 長いLで例文を言う 3回
- 簡略腹式呼吸(水道管呼吸法) 3秒 x 5回
- Wの練習(1) 普通のWで例文を言う 5回
- Nの練習(1) 普通のNで例文を言う 5回
- Wの練習(2) 長いWで例文を言う 5回
- Nの練習(2) 長いNで例文を言う 5回
練習4日目
Wの練習を初めて4日目ですが、いかがですか?Wの練習はLの練習に比べてやりにくいかもしれませんが、唇の力をつけると、自分のしゃべる英語全体が、明瞭になってきます。
沢さんの「川合メソッド2」練習前、練習後の発音の比較をLの練習を始める前に聞いていただきました。私は、沢さんの音読した文章を一度も彼女に発音指導していません。ただ、「川合メソッド2」の練習が終わった後、練習前と同じ文章を読んでいただいただけです。
何も指導しなくても沢さんの発音があんなに変わったのは、「川合メソッド2」が日本人の発音に共通する、通じなくなる原因を解決する練習方法になっているからです。
もし、「2,3か月先にアメリカ出張の予定がある」という方がいらっしゃいましたら、Lの長さが聞き取れなかったとしても、次のRの練習まで、一緒にやって、渡米してください。今までより、ずっとよく通じる英語で話せます。
イタリア人やドイツ人が母国語なまりがあっても英語がよく通じる原因の一つが「子音が明瞭に聞こえる」ということです。Rの練習までやっておけば、かなり発音は通じやすくなります。
著書「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」付属CDトラック6(Where’s my bag?)のWの発音の違いが判らなくても、このWの練習をしていれば、自分も通じるWの発音で話せるようになります。そして、そうやってWを発音していると、「本当だ。。。。Wにも長さがあったんだ。。。」とある日突然、わかる時が来ます。わかってしまうと、「なんで今まで聞けなかったんだろう。。。」と思うのですね。
練習1週間後「オーイーの練習」開始
「長い子音」の練習のやり方についてですが、今までの練習の説明では、皆さんが、「子音を長く言う」ということに慣れていらっしゃらなかったので、「私の音声の後について、5回言ってください」と書きました。
けれどももう、やり方がお分かりになったと思いますので、最初に数回私の音声を聞いて、長い子音の言い方がお分かりになりましたら、翌日から自分一人で、長い子音で例文を5回言っていただいて結構です。そのほうが、どこでも練習できて、やりやすいと思います。 (普通の言い方についても同様です)
たとえ、まだLの長さが聞けなかったとしても、日常、「単語の最初のL」を少し長めに、発音していてください。例えば、音読教材を使っていて、文頭にLで始まる単語があったら、Lを少し長く発音してください。また文中にLittle Long Look Like などの単語が出てきて、その前にちょっと余裕がある、などという時は自分で、Lを少し長く発音するようにしてみてください。
そうやって、しょっちゅう長いLを言っていると、耳の方も次第に長いLに慣れてきます。 耳が慣れて来ると、Lの長さもだんだん聞けるようになります。
耳は、「今まで、こういう長いLは、ご主人様の口から出てくることはなかったけれど、これからは、こういう長いLもご主人様の使う音の仲間に入ってきたのだ」と認識して、長さを持ったLが聞こえてきたらそのまま取り込むようになってきます。
学習する人が長いLを頻繁に発音することによって、日本語の音だけを取り込むように設定されていた、耳の設定が、だんだん変わってきます。そうすると、次第に長いLが聞けるようになります。
お昼休みなど、周りに人がいなかったら、(それでも文章で英語を言うのは、はばかられるでしょうから)一つの単語でもいいですから、Lを少し長く発音して、LLLong LLLive などと言ってみてください。そうやって、日常、外国語特有の子音に耳をなじませていくと、やがて、英語を聞いた時、Lがちょっと長いな、と感じられるようになります。そして、いつの間にかそれが当たり前のLの言い方になります。
皆さんにとって、外国語の子音が、当たり前の音として、認識されていきます。
そうやってLを長く発音していると、周りの方々が、「あなたの発音は少し違うね」と気づくかもしれません。そうしたら、「英語の子音には少し長さがあるので、そうやって発音しているのですよ」と教えてあげてください。学習者同士の情報交換は歓迎します。
それでは今日の練習に入ります。
私は、2006年にアメリカから帰って来て、2,3年の間、英語力を維持するためにいろいろな勉強会に参加しました。そこで自分が話す英語を聞いていて思ったのは、音をつなげる唇の力が少し弱い、ということでした。
それで、どうしたらいいか考えました。まず、頭の中で、しゃべるときの唇の動きをイメージしてみました。唇が一番小さくなるのは、口角が中央によってきた時、唇が一番広がるのは、口角が左右に広がったときです。
口角はその2つの位置の間を動きながら発音し、その口角の動きに合わせて、唇は形を変えていきます。どの時点でも唇に力を保持するためには、この口角の動きを繰り返す間、ずっと唇に力を入れているような練習をすればよいと思いました。
それで、口角が中心によって来て出す音「ウ」と、左右に広がったときに出る音「イ」を、ずっと唇に力を入れながら、つなげて言う練習を2か月ほど行いました。
具体的に言うと、唇に強く力を入れながら「イーウーイーウーイーウー」と繰り返す練習を2か月間、毎日200回行いました。
現在は、もう回数は数えていませんが、朝起きて顔を洗う時、鏡を見ながら「イーウーイーウー」お皿を洗いながら「イーウーイーウー」気が付けばいつも「イーウーイーウー」と唇に力を入れて言っています。
これで、だいぶ、文の途中で、声が弱くなることがなくなりました。
相田さんや沢さんが強くて長いLが言えるようになってきた時、文がブツブツ切れだした、ということは以前、申し上げました。ブツブツ切れる原因の一つが息の強さなので、持続して、強い息が使えるように、水道管呼吸法をやっていただきました。
けれども、ブツブツ切れる音をつなげるには、息を強くするだけでは解決しません。音をつなげて発音できる唇の強さをつけることが必要になります。
それで相田さんに「イーウーイーウーイーウーイーウーイーウー(5回)」と唇に力を入れて音をつなげて言ってください、と申し上げたら、「イーウーは言いにくいです」と指摘がありました。
それで、口角が左右と中心を移動できるほかの言い方を考えて、「オーイー」はどうですか?とお聞きしましたら、そちらの方が言いやすいということで、「オーイー」と5回言っていただくことになりました。
これが今日から、皆さんにやっていただく練習です。唇に強く力を入れたまま、音を切らないで、「オーイー」を続けて5回言ってください。
口角を下げないために「イー」の時に前歯がきれいに全部見えるようにします。続いて、口角は歯にびったり添わせるようにして、中心に寄せてきます。どの時点でも、唇には、強く力を入れていてください。特に口角が、左右に広がったところから向きを変えて中央により始めるその時に、力を抜かないで、意識して、力を入れるようにするのがポイントです。
なおこの練習は2か月後に実際に英文をつなげて言う「Where are you?」の練習に変わります。
「オーイー」は「オ」と「イ」2つの音をつなげて言う練習ですが、次の「Where are you?」の練習で、実際に英語の音をつなげてしゃべる練習をします。「オーイーの練習」はその準備練習となりますので、この練習で「唇に力を入れながら、同時に音をつなげて言う」という感覚をつかんでください。
沢さんは「Where are you?」の練習に入った当初、唇に力を入れて英語をしゃべると、ずいぶん英文が切れました。ブツブツ切れるというよりは、「空間が空く」というくらい切れました。少しでもそうならないために、オーイーの練習で、「唇に力を入れながら同時に音をつなげてしゃべる」感覚をつかんでください。
私は沢さん自身に「川合メソッド2」練習前と練習後の沢さんの発音を聞いていただきました。彼女は、自分の録音を聞いて、「練習前の発音は音がブツブツ切れている」といいました。この練習前の沢さんの発音を聞いて、「音がブツブツ切れている」と感じる日本人の方はあまりいないでしょう。
なぜならこれは、日本人の普通の英語のしゃべり方だからです。ほとんどの方はこの発音を聞いても、あまり違和感がないと思います。
沢さんがなぜ音がブツブツ切れていると感じたかというと、唇の力を強くして音をつなげる練習をしてきたからです。
「オーイーの練習」をしている時は、唇はもちろん、舌、口蓋などの口の中、頬(ほお)、あご、などの顔の筋肉、それにつながる首の筋肉などにも、力が入っているのがわかります。もっとよく観察すると、胸の肋骨の下あたりの筋肉や、おなかにも力が入っています。私は、立ってやるときは、口角を左右から中央に寄せてくる時に、お尻の筋肉を左右から中央に縮めてくるようにしてやっています。
なぜここまで力を入れるのかと言いますと、5か月目から英語の音質で話す練習が始まります。その時、軟口蓋を上げて鼻腔への通路をあけていきます。
軟口蓋を上げる、つまり、口の中にあるものの位置を変えることは大変なのですが、こうやって口の内外の筋肉を鍛えておくと、軟口蓋を上げやすくなります。これは沢さんに指摘されてわかったことでした。ですからめいっぱい唇に力を入れて「オーイーの練習」をしてください。
この練習は音声がなくても、出来ると思いますが、一応、私の音声を載せておきます。
「川合メソッド2」の練習終了後、沢さんにお会いした時、彼女は「練習終了後は、顔全体を使って英語を話すようになりました」と言っていました。それはこの練習の結果ですね。この練習によって発音に使う様々な筋肉全体が強くなりますので、明瞭な発音が出来るようになります。
私たちは日常生活で英語を話しているわけではありませんので、普段英語を話していない人のための筋肉トレーニングが必要になります。
「オーイーの練習」は唇に強く力を入れて言えるようになったら、周りの状況で声が出せなかったら、「オーイー」と声を発しないで、唇の動きだけで練習しても結構です。
- Lの練習(2) 長いLで例文を言う 3回
- 簡略腹式呼吸(水道管呼吸法) 3秒 x 5回
- Wの練習(1) 普通のWで例文を言う 5回
- Nの練習(1) 普通のNで例文を言う 5回
- Wの練習(2) 長いWで例文を言う 5回
- Nの練習(2) 長いNで例文を言う 5回
- 「オーイー」を5回、唇に力を入れてつなげて言う練習
参考:歌う時にも役に立つ「オーイーの練習」
娘に「リトルマーメイド」という映画のPart of Your World という歌を教えた時のことですが、娘が一回この歌を歌った後、私がしたアドバイスは次のようなものでした。
「こういうセリフのような歌はね、言葉をはっきり伝えるように歌うの。それには普通に話している時のような発音をしていてはダメなの。まず、単語の最初の子音を特にはっきり聞こえるように発音するの。それ以外の音も、言葉は全体的にしつこいくらいはっきり言って歌うの。それで、聞いている人にはちょうど良く聞こえるの。普通に話しているように聞こえるの。(合唱をやっていた経験のある方はご存じだと思いますが、これは日本語の歌を歌う時にも当てはまることですね。)メロディーに乗せて、たたみかけるように、言葉を強調して歌うと、「地上へ出たい」という若い女の子のはち切れるような思いと憧れが、表現できるの。そうやって歌ってごらん」
と、言いました。
娘は「わかった」と言って、また歌い始めました。今度は最初のフレーズから見違えるように曲が生き生きとしていました。娘も前の歌い方とは全然違うのがわかったようで、言葉を畳み掛けるように強く歌って、女の子の思いを表現していきました。
歌い終わった時、私が「最初の歌い方と全然感じが違うでしょう?」というと、「うん、全然違う。」と言いました。
私が「こうやって言葉をしつこいくらいはっきり歌ってみて、どこが一番疲れた?」と聞くと、娘は、両手を顔の両側に当てて、「ここが疲れた。口だけじゃなくて、ほっぺとか顎(あご)とか顔じゅうが疲れた」と言いました。
英語をそれだけはっきり聞こえるように言うには、顔が疲れるくらい、顔全体の筋肉を使います。そこまでやっても、聞いている人には、普通の発音に聞こえるのです。歌の発音というのは、そういうものです。歌っている方はそのくらいしないと聞いている人に言葉で思いは伝わりません。
それから娘も「オーイーの練習」をすることになりました。娘が「お母さん、オーイーを5回続ける間、切ってはいけないの?」と聞くので、「切ってはいけないの。唇はガチンガチンに力を入れるんだけど、言葉は滑らかにつなげるの」と教えました。皆さんもそうやって、唇に力を入れて滑らかにつなげる練習をしてください。
簡略腹式呼吸(水道管呼吸法)の練習と、「オーイーの練習」をすると
(A)ブツブツ切れる発音が
(B)強い滑らかな発音に変わります。
音声で言うと
が
に変わります。(簡単な練習ですが、真剣にやると効果は大きいです)
最後に、これは「個人の感想」ですが、相田さんから「オーイーの練習」はアンチエイジングに良い、という感想がありました。ほうれい線予防に良い、と相田さんがおっしゃっていました。これについては、検証のしようがありませんので、「個人の感想」としてお伝えいたします。相田さんはこれで、「オーイーの練習」に対するモティベーションが一気に上がったそうです。
WとNの練習 基本の発音で気になったところ
今回の川合メソッド2の練習は、一応、基本の発音は習得している、という前提で、始めましたので、私は沢さんや相田さんに基本の発音はお教えしていません。
けれども、例文の発音を送っていただいた時、「ちょっと音が違う」と思ったものは直していただきました。
今日はその具体例をお話しします。
(例)No, it isn’t.の発音
It の /i/ 、 Isn’t の /i/の発音については、私はDVDの中で、「日本語のエの口の形で、イというつもりで発音してください」と説明しています。つまり、この/i/の発音は、イとエの間のような音になります。沢さんの発音は、鋭い「イ」という音に聞こえました。
No, it isn’t. の発音を沢さんと私で比べてみてください。
沢さんのIt Isn’t の /i/は、私よりずっと鋭いイの音ですね。沢さんに、この発音の仕方を説明して、「エの口で、イと言う」いい方に直していただきました。沢さんには私のDVDを最初にお渡ししてありますので、私の説明でわからないときはDVDを見てください、とお伝えしてありました。
英語の/i/の音は、小さな音ですが、頻繁に出てきますので、この音に注意するだけで、自分の話す英語がとても英語らしい発音に変わります。小さな/i/という音一つの発音をよく練習しておくだけで、自分の話す英語全体の印象が違ってきます。いつでも、「エ」の口で「イ」と言えるように練習しておきましょう。
参考:子音の日本語化をお菓子のイメージでつかむ
イメージというのは瞬間的にその特徴がつかめるので、新しいことを学ぶ時に便利です。ここで、皆さんがよく知っているお菓子を使って英語の子音と日本語の子音のイメージをご説明いたします。
まず、「きのこの山」と「たけのこの里」の画像をご覧ください。
娘が高校生のころ、おやつにきのこの山とたけのこの里が大きな袋に入っているものをよく買いました。
ある日、それを食べていた娘が、「由紀子はきのこの山よりたけのこの里の方が好きなの。全部たけのこの里だったらいいのになあ〜」と言いました。
それを聞いた時、理由はすぐにわかりました。
画像にあるとおり、きのこの山はきのこの笠の部分がチョコレートで、軸の部分がクラッカーでできています。チョコとクラッカーは、はっきり分かれています。
一方、たけのこの里はたけのこの形をしたビスケット生地にチョコレートが薄くコーティングされています。こちらはチョコとビスケットは不可分の関係で、くっついています。それが娘にはおいしく感じられたのでしょう。
このお菓子の違いは英語と日本語の子音と母音の関係によく似ています。
チョコレートを子音と考えビスケット(クラッカー)を母音とします。
そうすると、きのこの山は、英語の子音と母音の関係に似ています。
きのこの笠全部がチョコレートの塊でできています。これは一つの音として独立して発音される英語の子音と同じです。母音はクラッカーでできた軸の部分で、やはりチョコとは別の塊(一つの独立した音)を作っています。
たけのこの里は、日本語の子音と母音の関係に似ています。
たけのこ型のビスケット生地に、薄く不可分の形でコーティングされているチョコレートは、いつも母音と一緒に発音される日本語の子音と似ています。チョコはビスケット生地と一緒でないと壊れてしまうくらい薄くて、いつもビスケット生地にくっついています。いつも母音と一緒でなければ一つの音にならない、日本語の子音に似ています。
ですから、「英語の子音はきのこの笠くらいの厚さ」があり、「日本語の子音はたけのこの皮くらいの薄さ」、そんなイメージを持っておくと感覚的によくわかります。
子音の日本語化は、きのこの山のチョコレートでできた笠の部分が溶けて、クラッカーでできた軸の部分に薄くコーティングしてしまうようなものです。そうすると、きのこの笠の形はなくなりますから、いつもきのこの笠の形を見てきた人には、何の形だかわからなくなります。
そうならないために、英語の子音は、チョコの塊でできたきのこの笠のように、存在感を持って発音しましょう。
どうやったら、存在感のある子音が発音できるかというと、L,N、Wが単語の最初に来たら、少し長めにしっかり発音するようにします。
練習1か月後
練習を始めて一か月経ちました。Wの長さは初級用の教材で、Wood あるいは Woodsという単語を聞いてみるとわかりやすいです。
もし、まだWの長さが聞き取れなくても、心配しなくて、大丈夫です。この後も練習していきますので、もう少したつと、聞き取れるようになります。
Nについては、沢さんに、文学作品の朗読を聞いていただきましたが、Nの長さがわかりませんでした。それで、The Parent Trap という映画の31分46秒のところにあるリンズィー・ローハンの「No, No, No.」というセリフを聞いてもらいましたら、「Nの長さがよくわかりました」ということでした。
双子が入れ替わるためには、「あなたはピアスをしなければだめよ」と言われて、「No, No, No.」という場面です。
もしレンタルビデオ店で借りられるようでしたら聞いてみてください。この映画はよい映画ですので、英語学習をしている人なら見ておいて、損はないと思います。日本語の映画は、以前「ファミリーゲーム」という題で、レンタルショップにおいてあった、と聞いたことがあります。
Nの場合も、Wと同様に、たとえ今長さが聞き取れなくても、これからも練習を続けていけば聞き取れるようになりますから、心配はいりません。
皆さんは、Wの音を長く言う練習(2)を1か月行ってきました。もうお分かりだと思いますが、唇をすぼめてWの音を長く発音していると、唇が、細かく振動しているのが感じられると思います。
これから英語をしゃべるとき、もし、文の最初に、Wから始まる単語があったら、(例えば What is it ?)最初のWの発音で、すぼめた唇が振動するのを感じてから、文をしゃべってください。
What is it? と発音する場合、What の Wを発音するときに、唇をすぼめて振動を感じてから、「ア」の母音に移って、文全体をしゃべってください。
ウワットイズイットみたいに聞こえますね。
そうやってしゃべると、今までと勝手が違って、Wの音で、もたついているように感じるかも知れませんが、10回くらいそうやって文全体を発音してみてください。違和感はなくなると思います。それが、英語の発音です。子音が長さを持っていますので、よく通じます。